心音だより

読み書きが苦手な子どもたちにどう接すれば良いか?

鹿児島大学 教育学部 准教授・雲井 未歓(くもい みよし)先生を講師に迎え、 5月1日・2日に職員研修が行われました。 今回の研修のテーマは 『読み書きの困難と支援』。読み書きに困難を抱える子ども達の実態とその背景、 どうやって学習支援をしていくのか? 等々、多くのことを学びました。以下に、雲井先生(愛称:みかん先生)へのインタビューを掲載します。

雲井(以下、敬称略):障がいのある子どもの心理や発達を研究しています。
『障がい心理学』と言って、障害のある子どもたちの発達支援を行っています。

雲井:子どもたちは、自分の苦手なことについてプレッシャーを感じやすい状態にあると思うんですね。
私たち大人がまずできることは、そういうことをプレッシャーに感じなくていいとか、困った時にはSOSを出していいんだよ、ということを子どもたちに伝えていく必要があります。

どうしてもできなくちゃいけないとか、周りの子どもはみんなできているのにとか、そういうところで劣等感を感じたりとか。そういうことは、かえってその子の学習に対してマイナスに働くことが多いんですよ。

落ち着いてリラックスするというか、プレッシャーのないところで学習できたほうが、実は効果が上がるということが言われているので、子どもたちの頑張りをしっかり評価しながら見守っていくということが大事だと思います。

雲井:親が与えているつもりはなくても、自分でプレッシャーにしてしまう子が結構多いんです。

雲井:そういうこともあります。
学校でもそうですよね。周りの子どもたちと自分を比較して、できない自分にプレッシャーを感じてしまう。
そうしたら、学校に行きたくなくなっちゃうんですね。

雲井:まず、読み書きは目的じゃなくて、手段なんですね。
読み書きにつまずいているから、本来目的である物語の主人公の気持ちを考えるとか、その面白さを知るとか、そういうことができないという状況をなんとか避けてあげたい。それが周りでやるべき支援かなと思います。

学校は特にそうですけど、読み書きが苦手でも『今のままでも目的は果たせるよ』『授業に参加もできるよ』『今のままでも大丈夫なんだよ』っていう雰囲気を作ってあげた上でないと、実際『苦手なところを学習しようか』といっても、ダメになっちゃうんですね。

排水の陣というか、先生や親から「これをやらないと後々困るから」みたいな事を言われるのも大きなプレッシャーになるんです。

親が「大丈夫なんだよ」っていうのが一番大事です。
その上で学ぶとしたら、やっぱり本人が納得してやれること、自分でやろうと思える状況の中でやることが大切です。子どもが納得の上で学習に向かえるように、サポートしてあげるということなんじゃないかな、と思います。

ちょっと答えとして『どうしたらいいか』ということではないかもしれませんけど、その先は今度は一人一人の状態に合った学び方を見つける。それは私たち専門家の仕事だと思うんですね。

雲井:まずマンガを使うというのは、私の意見ですけど、大いに賛成です。
やっぱり話の内容に興味が持てるとか、そういうものを活字を通して触れるというのは良いと思います。アニメ化された原作のライトノベルとか、ああいうものはどんどん使っていいと思うんです。

音読してあげるかどうかは、子どもの特性次第ですね。
音読がいいか悪いか、というのは子どもにもよると思うので、「私がここまで読むから、この先は自分が読んでね」とか、交代交代に読むとか、プレッシャーを与えずに様子を見ながらってことですね。

雲井:サランセンターの美智子先生経由で、ご相談していただければと思います。

関連記事

TOP